MONOの芝居は、家族や、集落、友達どうしの関係を描くことが多い。
今回もある意味では、友達の関係なんだろうけど、
とある国の刑務所に収容されている囚人たち+看守たちの話だった。
今囚人たちと看守たちは、結構のんびりしていて、特に規則も厳しくなく、
なんだか結構仲良くやっているのだけど、
国が2つに分断してしまい、この刑務所は両国にまたがってるという状況で、
囚人たちが、出身地でその別れた国どおしで対立していく・・・とい話だった。
いきなり明日から国が分裂する、なんて、あまり実感がわかないけれど、
“同じ国の人”という”連帯感”を強制するカンジにリアリティがあった。
違う国どおしの人たちが集団化して、対立しあうんだけど、
違う国の人を、その人の性格や人格、今までのこともすべて無視して、
“国が違う”というだけで拒否するのよね。
“同じ考えを持つ人達”というグループを、
話し合った上で作るのなら、理にかなってるし、構わないと思うのだけど、
例えば、同じ地域の出身だとか、同じ学校出身だとか、同じ年齢だとか。
そういう”個人の考え”とは違うところで、グループ化する感覚って、
あるんだろうな・・・普通に。だって、簡単なんだもの。
たいてい外見や簡単な会話でわかるしね。
それに、無理矢理そのグループに属された人にしても、
違和感を覚えながらも、抵抗できない、という歯がゆさもあったりする。
そこまで人間は強くないものね。
特に集団には、集団からはみ出す人を叩く、というところがあるけど、
集団を理論や正義などで正当化して、それに従わない人はおかしい、
という叩き方をする。
そんな叩き方をされると、表立って異論をとなることもできなくなっちゃう。
なんだか、戦時中がまさにこんな状態だったんだろうな、と思う。
・・・というか、今もそうかもしれない。
原発や震災のことで、同じ意見を持たない人は異端!だとか、
話題にしない人たちはおかしい、みたいな雰囲気がある気がする。
集団の怖さというと、すごく凶暴で怖い話かとおもいきや、そこはMONO。
どんどん変わっていく人や、流されていく人なんかを面白く描いてて、
風刺的な芝居だったにもかかわらず、MONOらしい風刺劇だったかな。
昔見た『衛兵たち、西高東低の鼻を嘆く』に雰囲気が似ていた気がする。
役者さんたちも、MONOのメンバーは、相変わらずのキャラクターだったし、
客演さんたちもそれぞれの個性を生かしたキャラクターだった。
MONOメンバーのキャラを見ると、やっぱりMONOの本公演だなぁと思う。
他の劇団やプロデュースだったら、ぜんぜん違う役もするんだけど、
MONOの本公演だと、MONOメンバーって、だいたい同じキャラなんだな。
ま、安心するというか、これを観に来たというか( ̄ー ̄)ニヤリッ
そういうのも、楽しいのが劇団公演なんだよなー。はー、面白かった!
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