『青木さん家の奥さん』という結構有名な芝居がある。
それは南河内万歳一座の内藤さんという作家さんが書いた芝居で、
“芝居は役者ありき”というテーマで作られた芝居みたい。
# 題名は知ってたけど、実際には観たことがないんだよね・・・。
その、『青木さん家の奥さん』は男ばかりの芝居のようなのだけど、
それを女性版に改訂したのが、この『青木さん家の奥さん1/2』のようだ。
とあるバーの控え室(バックヤード?)で、
新しく入った女の子が氷を割っていると、
そこへ、ホステスさんらしき人たちが次々にやってくる。
その人達は、お客さんでもある”新入社員の青木くん”
というイケメンの名刺の争奪戦をやっているようだった。
だけど、その名刺が見当たらないのだ。
如何に”青木くん”の名刺が必要かを言い争う女性たち。
新しい女の子に、如何に”青木くん”がかっこいいか、を説明したり、
“青木くん”に楽しんでもらえる接客業を教えたりする。
この話のすべてというか、会話がすべて、アドリブみたいなんだよね!
もう、アドリブという域を超えた”エチュード”で作られた作品だと思う。
“役者ありき”といわれる所以はそういうことか!と納得したわ。
エチュードとは、舞台の上で、即興で芝居を作っていくものだ。
昔、私が役者をやっていた頃、一番苦手な演技だった。
役になりきって、舞台の上で役として会話をしなければならないのだけど、
相手がどう出るか、相手にどう渡すかがすごく大事で、
ものすごい瞬発力と集中力がいるのだ。
さらに、ただ思いついたことをやっていても、ストーリーにならないから、
一応、ストーリーが進むように持っていかなければいけない。
エチュードって、役を理解するために、稽古でやることはよくある。
だけど、これを本番でやるというのは、ただ役を演じるだけではだめだし、
さらにストーリーが進めばいいというものでもない。
そのストーリーや会話がお客様に楽しんでもらえないといけないのだ。
それはものすごいプレッシャーだと思う。
考えただけで、ひえーって思っちゃう。
舞台の上の役者さんたちが、それこそ物凄いテンションで演じていく。
テンションが凄まじいからこそのむちゃくちゃなストーリーが面白かった。
むちゃくちゃだから面白いかというと、必ずしもそうじゃないのだけど、
結構面白いむちゃくちゃさ加減で、”んなアホな!”っていうかんじね。
予定では1時間30分ぐらいの芝居だったのだけど、
終わってみたら2時間15分もあった・・・。
ま、役者さんたちはみんなすごくうまかったし、
んなアホな!ってのが面白かったけど、ちょっと中だるみしたかんじで、
若干、最後1/3ぐらいは辛かったかな・・・。
桟敷席に2時間15分座ってるのは、かなりつらかったわ。
予定通り1時間半におさえてくれてたら、かなり面白かったと思うんだけど。
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