今回の演目は、『碁太平記白石噺』と『女殺油地獄』。
『碁太平記白石噺』では、田舎(奥州かな)から出てきた少女が、
吉原で有名な花魁になっているらしいお姉さんを探して、浅草にやってくる。
たまたま居合わせた金貸しが、娘をだまして連れて行こうとしたところで、
吉原の旦那さんが娘を預かることにして、助け出すところから始まる。
最初の段ではこの金貸しがまんまと手に入れた50両を、
金を借りている人がまただまして、お金を手に入れる、という話。
もう、おたがい、だましだまされ、という感じ。
それも、地蔵尊に化けてだますとか、ありえないかんじなのに、
酔っぱらってる金貸しが、信じてだまされちゃったりして、かなり笑える!
なんとなく、落語っぽいかんじがしたかも。
次の段では、旦那さんに連れられて行った吉原で、
そこの傾城宮城野と少女が姉妹であったことを知る、という話。
姉妹の父親は、とある侍に切られて死んだということを知り、
二人で敵討ちをしようとするんだけど、
それを知った旦那さんに、説得されるという話。
その少女、奥州あたりから出てきたからか、方言がすごくて。
お父さんやお母さんのことを、全然違ういいかたで言っていたり、
独特の単語や言い回し、イントネーションがすごく特殊。
そんな少女を、別の遊女たちがからかうシーンがあるんだけど、
それがまぁ、現代と結構似てるんだよねー。
東京に行くと、地方の言葉をからかわれるって、よく聞くし。
なかなか話が面白くて、宮城野の衣装がすごくキレイでさー!
しかも、方言や言い回しを太夫さんの歌で表現するのがすごかった。
それに、浅草や吉原が舞台なのにもかかわらず、
登場人物たちの会話がかなり浪花ことばだったのもおもしろかった。
そこはやっぱり浪花の文楽なわけですね( ̄ー ̄)ニヤリッ
そして、休憩の後は『女殺油地獄』。
ちょっと前に、現代劇で舞台になったというニュースがあって、
それ以降、かなり気になってた演目だったんだよね。
今回、これが見たくて、第一部を観に行くことにしたぐらいだもん。
ストーリーとしては、油屋の次男がどうしようもない男で、
喧嘩はするわ、商売の金を店に入れずに使いこむわ、
さらには親父の印鑑で借金までして、色狂い的な遊びばかり。
親や兄弟もずっと性根を入れ替えてくれるようにいろいろ試すも、
全然変わらず、最終的には心を鬼にして家を追い出すことにする。
家を追い出された次男は、向かいの油屋へ金を借りに行くんだけど、
もちろん貸してもらえず、その油屋の女将を殺してしまう、という話。
いやー、もう、救えない、救えない。
しかも、殺した後、お金を奪って逃走しておしまいなんだもの。
その、追い出した親たちが、向かいの油屋に来て、
次男がきたらこのお金を渡してください、って涙ながらに依頼するのに、
そのお金だけでは足らずに、結局強奪しちゃうわけでしょう。
まー、ほんと、救えない話だったわー。
でも、最後の殺しのシーンは、油まみれになりながら逃げる女将と、
油に滑りながら追う次男との死闘がくりひろげられるんだけど、
ここがまぁ、リアルで、だけど油につるーっと滑ったりして、
なんとなくエンタメ的な、すごい場面だった。
夏祭浪花鑑の殺しのシーンもすごかったけど、
女殺油地獄の殺しのシーンも迫力があってすごかった。
今回の話って、現代もおんなじやなーと思うことが多かった。
方言をからかわれたりさ、
借金を頼みに行って相手を殺しちゃう事件なんかもいっぱいあるし。
今も昔もたいしてかわらん、ということなんかねぇ。
はー、今回もおもしろかった。
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