初めて行く劇団さんってのは、たいていドキドキするものだ。
今回も、なんだか不思議な話みたいだったので、余計にドキドキした。
久しぶりに入った劇研だったけど、客席は相変わらずの小ささだ。
開場前でも結構たくさんの人が待っていたので、入れるか心配だったけど、
ちょっとずつ詰めたりして、意外にピッタリなキャパ数みたいだった。
舞台には、袖幕なんかが全く無くて、
白いラグや、大きな白い布がとぐろを巻いたように敷かれていて、
他には大きな脚立と、ガラクタたちが転がっていて、雑多なカンジ。
さらに、客席の上から舞台奥に向かって伸びるロープが印象的だった。
お母さんが、自慢の息子に会いに行くというところから始まるのだけど、
その”自慢の息子”は、独立国家を作ったらしい。
・・・だけど、独立国家と言いつつ、普通のアパートの1室みたいだった。
そこへやってくるお母さんと、その独立国家へ”亡命”してくる兄妹。
ただの宅配便の配達員らしき人は、その”独立国家”への案内人らしい。
その息子が創り上げた国家は、息子が擬人化しているぬいぐるみの国家。
兄妹は、なんだか相思相愛で、アブナイ関係だし、
隣の部屋に住む女性は、ガンガンに音楽を鳴らしてるギャル系女子だし、
なんだかそこには、”国家”なんていうのがすごく似合わない世界だ。
お母さんも、息子も、兄妹も、隣の女性も、みんな自分の世界に生きてて、
めちゃめちゃ自分勝手で、社会性がなくて、めちゃめちゃうそ臭い。
そのうそ臭さが、だんだん際立ってきて、滑稽なことこの上ないのだ。
ぬいぐるみの棚に向かって、演説をする息子だったり、
自分の妄想にとりつかれて、それにすがりついてる兄妹だったり、
お母さんのおせっかいぶりは、なんだかいかにも”お母さん”らしいけど、
息子に対する”信用っぷり”は、やっぱり自分勝手だったりするものだ。
独立国家なんてありえない世界なのに、ひとつひとつはやたらリアルで。
リアルと虚構がまざりあってすごく不思議な世界だった。
それに、大きな白い布とロープが、めっちゃ効果的に使われてて、
舞台がなんだか一つの絵のような、そんな場面もいくつかあった。
絵って、リアルなことももちろんあるけど、幻想やうそ臭いところもあるよね。
まさしく、絵のような世界だったのかもしれない。
特にコレといって、言葉で何かを訴えられたわけではないのだけど、
雰囲気や、描き方で、なんだかいろんなものを見せられた気がした。
うまく言葉では伝えられないけれど、ほんと、不思議な舞台だったわ。
21時前に公演が終わって、そのまま大阪まで帰らないといけなかったので、
アフタートークは見ずに、すぐにバス停まで歩いてバスに乗った。
バスの中で、ひさご寿しをつまみつつ河原町へ戻り、大阪まで帰ってきた。
はー・・・帰ってくることはできるけど、京都でソワレ公演を見た後に
大阪まで帰ってくるのはやっぱりしんどいなぁ。時間かかるし。
ソワレ公演を京都で見るなら、次の日も休みにしたほうがラクだなぁ。
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