仕事終わりにウイングフィールドへ芝居を観に行った。
観に行ったのは、第一次反抗期の『いつまでも続くなら続け』という舞台。
“旗揚げ公演”だったので、ちょっとドキドキもので観に行った。
舞台は男3人芝居で、暗い(であろう)一室で開かれる、とあるOFF会の話だ。
なんのOFF会かというと、”変態良い子の会”という。
変態・・・というだけあって、みんな究極の”マイノリティ”だ。
一人は、男なのにセーラー服を着ている。常にセーラー服を着ているらしい。
そこへやってくる、おどおどした男。この会に新しく入った男だ。
さらに、一升瓶を抱えた男がやってきて、これでメンバー全部だった。
新しいメンバーが増えたことをきっかけに、
自分がなぜこんな状態になっているのかをひとりずつ自己紹介していく。
芝居では、この自己紹介、というのが結構難しい。
必要性がないのに切々と自己紹介するのは説明じみているし、
全く自己紹介しないまま、関係性やストーリーでわかってもらうのは
結構高度な技術がいる。中途半端にするとすごく違和感が残ったりするのだ。
でももちろん、必要性があれば自己紹介をせつせつとしてもいいのだ。
今回の芝居では、とあるOFF会で集まる人達という必要性があるからこそ、
自己紹介をしっかりすることができてて、これがなかなか面白かった。
マイノリティの集まりだからこそ、自己紹介の重要性が普通より高いと思う。
登場人物がどんな”変態”なのかというのを聞いていくと、
犯罪一歩手前、あるいは、すでに軽犯罪を犯しているレベルだったりする。
セーラー服を盗み続けて、そのセーラー服を着ているとか、
お酒の入った一升瓶を、人が集まっている場所で破壊し続けるとか、
人を階段からつき落として、血を流す様を見ていたいとか。
そうゆう衝動に突き動かされている男たちだった。
普通の人なら、眉を潜めるような、破壊衝動とか所有衝動なのだろうけど、
誰にだって、破壊衝動も、所有衝動も、あると思う。
さすがに犯罪者や変態と呼ばれるようなところまで行かないまでも、
何かをおもいっきり壊したいとか、なんとしても手に入れたいなんていう
熱情に動かされることだって、ある。
登場する男たちは、自分に正直すぎるぐらい正直なだけじゃないかと思った。
考えてみれば、精神的に相手を破壊するとか、相手のモノを奪う、
なんていうことを平気でやっている人のほうが多いんじゃないだろうか。
男たちは、人から見れば”変態”といわれるような人たちだけど、
舞台では、この男たちを慰めるわけでもなく、
といって、本人たちも更生(?)しようとしているわけでもなく、
傷を舐めあう会だよ、とはいっているけど、
ことさらに相手を褒めるとか、がっつり肯定することもしていない。
否定も肯定も、現状をプラスやマイナスに動かすことだけど、
集まっている男たちは、ただ集まって、ただ話を話して、聞くだけで、
プラスでもマイナスでもなく、ただニュートラルに接している。
自分たちもあえてどちらかに行こうともしていないようにみえた。
だからこその「いつまでも続くなら、続け」という潔さがあったのだろう。
旗揚げ公演だからか、話や演出は荒削りだけれど、
なんだかそのニュートラルさや、潔い放置っぷりが、若さかなー、と思った。
私なら、きっとどっちか(プラスかマイナスか)を描きたくなるだろう。
この男たちがどこへいくのか、どこへ行きたいのか、そんなことは描かない。
ただ集まった今を過ごしているだけ、という舞台だった。
旗揚げ公演とはいってるけど、これは将来有望かなー。
もっともっと作品も、演出も、面白くなっていくといいなぁ。成長が楽しみ。
ただ、この”潔さ”は残しておいて欲しいなぁ、と思ったりした。
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